家系図はどこまで遡れるか?戸籍で調査できる範囲と戸籍以上の調査方法

2025.10.01

家系図で遡れるのは何年前まで?

家系図を作成する際、気になることの1つに「どこまで先祖を遡れるのか?」という点があります。

結論から言うと、現在取得できる最も古い戸籍は、明治19年式戸籍(明治19年に制定された)です。これは日本の戸籍制度の歴史に深く関わっています。

日本の戸籍制度は、明治5年(1872年)に始まりました。「壬申戸籍(じんしんこせき)」は日本で初めての全国民を対象としたものでしたが、現在は閲覧・取得ともに禁止されています。

そのため、実務的に遡れる最古の戸籍は、明治19年の戸籍編製(いわゆる改製原戸籍)となるわけです。

この時期の戸籍には、本人の名前や親・祖父母の情報、さらには生まれた土地や本籍地が記載されており、約5~7代前の情報が含まれるケースが多いです。

主な戸籍の種類と遡れる時期

改製原戸籍(かいせいげんこせき)

昭和・平成の戸籍制度改正前に作成されたもので、明治19年(1886年)〜昭和初期の記録を多く含んでいます。

祖父母や曾祖父母世代の情報が得られる貴重な資料です。

除籍謄本(じょせきとうほん)

すでに誰も在籍していない戸籍で、婚姻・転籍・死亡などで戸籍から除かれた情報を含むもので、過去に在籍していた家族構成や関係が明らかになります。

長期間保存されている場合もあるため、古い家系の調査には欠かせません。

現行戸籍(現在の戸籍)

現在有効な戸籍で、2006年頃以降は電子戸籍に移行したため、順次デジタル化されていきました。

役所によってはオンライン申請も可能です。

それぞれの戸籍を組み合わせて取得することで、明治時代から現代までの系譜を詳細にたどることができます。

家系図作成の上で遡れる限界の目安

現在、戸籍で遡れる限界は、明治19年戸籍に載っている直系の先祖までが限界で、江戸末期から明治初期の頃までとなります。

また、除籍簿や改製原戸籍は150年の保存義務があります。

そのため、例えば1875年に作成された除籍簿は2025年に廃棄される可能性があるということになります。自治体によっては早期廃棄もあり得るため、取得は早めが鉄則です。

戸籍以外の調査方法では何年前まで遡れる?

戸籍だけでは明治19年(1886年)より前の先祖までは辿れません。

さらに過去の世代を調べるには、歴史資料や現地調査が必要になりますが、遡れる時代と調査に必要な資料には下記のような特徴があります。

明治以前を調べるための主な手段

過去帳(かこちょう)

寺院が檀家(だんか)の死亡記録を残したものです。

江戸時代まで遡れることもあります。

墓碑・墓誌

墓石に刻まれた戒名や没年を手がかりに先祖を特定します。

宗門人別帳(しゅうもんにんべつちょう)

江戸時代の戸籍に近い役割のものです。

地域の公文書館で閲覧可能な場合があります。

古文書・名寄帳・土地台帳などの公的資料

名家や地主の場合、記録が比較的多く残されている可能性が高いと考えられます。

家系ごとに異なる調査範囲と資料

こうした資料は、各家の置かれた社会的立場や地域性によって、存在しているかどうかが大きく異なります。

家の特徴ごとに、遡れる可能性のある時代と、調査に利用される主な資料をまとめました。

家の特徴溯れる可能性のある時代利用される主な資料
寺院・神社の家系室町〜南北朝時代過去帳・由緒書
旧庄屋・名主・武家など江戸初期〜戦国時代古文書・土地台帳
商家・町人江戸中期〜後期商用記録・墓石

一般家庭の場合は江戸後期が現実的な到達点ですが、旧家や宗教関係、士族・武士階級などであれば、戦国時代や室町時代まで辿れる可能性もあります。

実地調査・専門家の協力がカギ

こうした調査には、以下のような実地の確認や人的ネットワークも重要です。

  • 菩提寺への聞き取り・資料閲覧の依頼
  • 地元の郷土史研究家・図書館司書との相談
  • 系譜調査の専門業者(家系図作成会社)への依頼

特に古文書の判読や、地域に残された文献の探索は、一般の方には難易度が高いため、専門家の協力を得ることで精度と深度が大きく向上します。

家系図は何代・何年前まで遡るべき?

どこまで家系図を作成するかは「目的」によって異なります。以下のように、目的に応じて必要な情報量も変わります。

目的別で考える家系図の調査範囲

親族関係の整理・終活目的

3代前(祖父母)程度が現実的でしょう。

戸籍だけで完結する場合も多いと考えられます。

先祖供養・仏壇継承・お墓の問題

江戸時代までの過去帳や墓誌を参照し、5〜6代前まで調査すると良いでしょう。

ルーツ探し・地域のルーツとの関係解明

ここまでの情報を調べるのであれば、江戸時代以前(戦国時代や鎌倉時代、平安時代)まで遡る本格調査が必要となります。

家系図の専門業者に依頼をして調査をしてもらう手段も有効です。

家系図調査にかかる期間と費用の相場

家系図の作成には、必要な資料の種類や調査範囲(何代前まで)によって、かかる期間や費用に大きな違いがあります。

ここでは、個人での調査と専門業者への依頼の両方を踏まえて、一般的な期間と費用の目安を整理していきます。

個人で家系図を作成する場合

自分で戸籍を請求して調べる場合、かかる費用は抑えられますが、手間と時間はかかります。

  • 期間の目安: 約1〜3ヶ月
  • 費用の目安: 5,000〜15,000円程度

費用の内訳は以下の通りです。

  • 戸籍謄本・除籍謄本の取得費用:1通750円前後
  • 郵送請求の郵送料・封筒代:1回あたり100〜300円程度
  • 交通費・図書館利用料など:調査の範囲によって変動あり

なお、古い戸籍になるほど読解が難しくなり、専門知識が必要となるケースもあります。

専門業者に依頼する場合

時間や知識に不安がある場合は、家系図作成を専門とする業者に依頼することができます。

  • 期間の目安: 約1ヶ月〜6ヶ月
  • 費用の目安: 5万円〜50万円以上

料金は調査範囲や内容に応じて幅広く、以下のように分かれます。

  • 戸籍調査のみ:5万〜100万円
  • 墓石・過去帳・古文書調査あり:100万〜
  • 戦国時代以前を含む本格調査:100万〜200万円超

また、完成した家系図を和綴じ冊子や掛軸に仕立てるオプションなどもあり、これには別途数万円〜十数万円がかかることもあります。

費用と期間のバランスを考える

調査の目的が「家族のルーツを知りたい」「祖先を供養したい」といった場合は、戸籍調査のみでも十分な成果が得られます。

一方、「由緒ある家系を詳しく調べたい」「江戸時代以前まで遡りたい」という目的がある場合は、業者への依頼が現実的です。

費用と期間は必ずしも比例するわけではありませんが、深く遡るほど、調査の手間や難度は上がるため、無理のない範囲で計画することが重要です。

家系図調査にあたり知っておくべき注意点

戸籍には保存期限がある

家系図の出発点となる戸籍ですが、すべてが永遠に保存されているわけではありません。

戸籍には保存期間があり、法律上は「除籍から150年を経過したものは廃棄してもよい」とされています。

このため、明治初期の戸籍はすでに破棄されている可能性があり、調査を始めるタイミングによっては入手できる情報に差が出ます。

特に都市部では住民移動が激しく、古い戸籍が早期に廃棄されているケースも少なくありません。

逆に、地方の自治体では比較的長く保存されている場合もあります。

また、災害や火災、公文書館の再整備などで物理的に消失してしまった戸籍も存在します。

家系図調査を行う際には、「戸籍があれば調べられるだろう」という前提が常に成り立つわけではないことを理解しておく必要があります。

専門スキルが必要な場面もある

戸籍以上の時代にさかのぼる調査では、古文書や家伝の記録、漢文体の文献などを扱う場面が多くなります。 

しかし、これらの史料は現代人にとって読解が難しく、内容を正しく理解するには相応のスキルが求められます。

たとえば過去帳や江戸時代の書状には、崩し字や古典仮名遣い、くずし漢字などが用いられており、一見して意味がわからない資料が大半です。

系図文献も、時代考証や家系構造の知識がなければ誤読や誤認に繋がります。

そのため、調査を進める際には古文書に詳しい専門家や、系図作成に長けたプロの協力が欠かせない局面も多くなります。

戸籍以上の調査では“心の繋がり”が重要になる

家系図の調査が深まるにつれて、次第に明確な「血縁の証明」が困難になります。

過去帳に記された名前にしても、同姓同名の別人である可能性があり、数百年前の情報に“絶対的な正確性”を求めるのは難しいのが実情です。

そのため、戸籍でつながる血縁を超えて家系をたどる調査では、「精神的な繋がり」や「家の文化や伝承」といった側面を重視する意識が求められます。 

つまり、系譜の正確性よりも「どのような背景をもった人々から今の自分が繋がっているのか」という観点が、調査の主軸に変わっていくのです。

家系図調査を成功させるためのポイント

ここまでの解説で、家系図調査はただ古い情報を集めれば良いというものではないということがお分かりいただけたかと思います。

調査を成功に導くためには、目的の明確化や情報整理の順序、そして調査の“限界”を理解しておくことが不可欠です。

最初に決めるべき「調査のゴール」

調査の出発点で最も重要なのは、「どこまで、誰を調べたいのか?」というゴール設定です。

例えば、「自分の苗字の起源を知りたい」のか、「父方・母方の系譜をそれぞれたどりたい」のか、「特定の人物の出自を明らかにしたい」のかで、必要な資料や調査方法がまったく異なります。

このゴール設定があいまいなまま調査を始めると、時間や費用を浪費しがちです。

無限に広がる調査対象の中で“何を明らかにしたいのか”を先に定めることが、効率よく家系図を完成させる鍵になります。

資料収集の「優先順位」を守る

家系図調査では、「情報の信頼度」と「手に入りやすさ」に基づいた資料の優先順位を守ることが大切です。

  • 戸籍:法的根拠が明確で信頼性が高い
  • 過去帳:戸籍より古い情報を補う一次資料
  • 文献類:系図集・苗字辞典・郷土史などの二次資料
  • 口伝・聞き取り:証拠の裏付けには使えないがヒントになる

このような流れを意識しておけば、途中で情報が錯綜したり、根拠の薄い資料に惑わされたりするリスクを軽減できます。

家系図調査は「早め」に作成することをおすすめします

過去帳や古老情報は減少しつつあります。

特に口頭伝承や菩提寺の過去帳などは、今後ますます失われていく可能性が高いのが実情です。

寺の住職が交代することで記録の引き継ぎが途切れたり、地域の古老が亡くなることで語られる歴史が失われたりするケースは少なくありません。

調査を始めるなら「思い立った今が一番早い」というのが鉄則です。

「調査の限界」があることを認識する

最後に重要なのが、「すべての先祖を特定することは不可能な場合もある」という現実を認識しておくことです。

特に戦国時代以前になると、民間人の系譜はほとんど記録されておらず、苗字や地名だけが手がかりというケースもあります。

そうしたときに、「自分のルーツはもう分からない」と諦めるのではなく、当時の地域の社会構造や家族形態から“可能性ある姿”を描いてみることも、家系図調査の大きな価値となります。

正確さだけを追い求めるのではなく、物語として自分の家の歴史を想像し、感じ取ることこそが、この調査の本質とも言えるでしょう。

まとめ

家系図の作成は、まず戸籍を辿ることで明治19年(1886年)頃まで遡るのが一般的です。戸籍には150年の保存期間があるため、調査は早めに着手することが重要です。

それ以前の江戸時代まで遡るには、菩提寺の過去帳や地域の宗門人別帳といった資料が必要となります。ただし、これらの資料の有無は家の出自や地域によって異なり、古文書の読解には専門的な知識が求められることも少なくありません。

調査は個人でも可能ですが、時間がない場合や江戸時代以前まで深く知りたい場合は、専門家や専門業者の力を借りるのも有効な手段です。費用や目的に合わせて、ご自身に合った方法で、ご先祖様とのつながりを探求してみてはいかがでしょうか。